- 有機野菜のぶどうの木
- 生産者のご紹介:有機いちご 牧山清吉
長崎県 壱岐市 牧山農園さん
2016年10月24日訪問
農薬はつかわんとよ。使うんならいちご作りはやめるとよ。 食べ物が体を作るから。
体を作る野菜は農薬を使わない健康な野菜がいいから。
時間はかかる。けれど農業は農薬を使わなくてもできる
有機栽培も普通の農法も手間をかけるのは一緒。農薬を使うと虫も来ない病気も来ない土地になる。でも虫のうち半分は直接作物に影響を与えないもの。残りの半分のそのまた半分が益虫。そして作物に影響を与える、いわゆる害虫が残りの約1/4。農薬は殺すべき1/4だけでなく、圃場の中のすべての昆虫を殺してしまう。
たとえば「うんか」などの害虫は台風が運んでくる。農薬を使って益虫まで殺してしまった圃場では害虫が来たら作物は全部食べられてしまう。すべての虫を殺す農薬を使うのはよくない。
農薬を使わないことだけで満足はしない。一番いい状態でお届けしたい。
いちごの収穫は朝5時から。夫婦二人でハウスに電照をつけ、食べごろのいちごを丁寧に摘み取ります。温度が低いうちに収穫したほうが絶対にいい品質のままお届けできるから。 朝は寒いし冷たいけれど温度が上がらないうちに収穫します。佐川運輸さんが集荷に来る2時までかけて丁寧に詰めて、送り出します。
小さなお子さんがさっと洗ってそのまま食べるいちごだから。農薬は使いたくない。
じつはいちごは農薬の使用回数が多いのです。生産量1位の栃木県の年間平均農薬使用回数が52回、 2位の福岡県で63回、長崎県は65回。南の地域ほど農薬の使用回数が多くなる傾向があります。 気温が高いと病害虫の活動が活発になるからです。
24年前からいちごを育ててこられた牧山さんは、通常の一般的な農薬を大量に使用する農法に疑問をもち、 資材はできるだけ地域のものを利用し、自然の生態系にかなう農業を、と試行錯誤されてきました。 牧山さんはいちごを毎日観察して、手作業で病気や害虫のいたずらを食い止めています。
さっと洗ってそのまま口にするいちご。 小さなお子様が食べるものだからこそ、安心して食べられるものをつくりたい、そうおっしゃいます。
13人のお子さんを育てられた牧山さんならではのことばだと思いました。
農薬はつかわんと。使うんならいちご作りはやめるとよ。
いちごを作ったのは昭和63年から。今年で28年。最初は農協に出荷した。でも農協は有機として扱ってくれなかった。それでも農薬を使いたくなかった。「有機栽培いちご」として販売した。でも売れなかった。泣きたいくらい売れなかった。
有機栽培は難しい。農薬を使わずにいちごを育てることは難しい。むつかしいけど楽しい。一番大変なことは害虫。虫や病気が出たら苗を抜く。人の出入りを極力避けたり、ハウスのネットの目を細かくすることで病気や害虫を防いでいます。
わたしら いちご作りに人生かけとるんよ。
いちごは週に1回~10日に1回、メロンは収穫までに5回くらい海水をかけて育てます。健康な葉っぱは海水をかけても枯れないとのこと。これによりミネラル分を作物が吸収し、健康に育つとともに、いちごの果実がぎゅっとしまり糖度が増して美味しくなり、いちごやメロンが丈夫に育つそうです。資材や肥料はできるだけ壱岐産のものを使い、生態系を壊さない農法を取り入れている牧山さん。 土作りでは山で集めた落ち葉や米ぬか、自家製のぼかし肥料などを混ぜ込んでいます。
一般的にいちごの受粉には効率の良い西洋産の蜂を使うことが多いのですが、壱岐の島の生態系を壊したくない、という思いから壱岐島の和蜂が活躍しています。
※近年、中国・韓国からの漂流物が問題となっており、潮の流れが緩やかなところでは有害物質がたまってしまうため、海水はできる限り潮の流れが激しいところからくむように、と海水をくむ場所なども工夫されております。
そのほかJAS法に沿ったいい資材をふんだんに使い、もっともっといいいちご、おいしいいちごを作りたい。健康な人が食べてくれるばかりでなく、病気の人が健康を取り戻す、そんな希望をもって食べられるような「いちごを作りたい。いちご作りにこれで満足はない。
わたしらいちご作りに人生かけとるんよ。牧山さんは照れ臭そうにそうお話しされます。
牧山農園を訪問させていただいて
福岡港からジェットホイルで1時間ほど。壱岐が見えてきました。港に着いた私がすぐにわかるようにと、「有機栽培いちご」の段ボールをもって出迎えてくださいました。その心使いがとてもうれしかったです。圃場を見せていただき、お話をお聞きして、お昼は牧山さんが壱岐の郷土料理を作ってくださいました。お忙しい中、とてもうれしくありがたく、申し訳なく思いながらおいしくいただきました。
持参の栗きんとんを「こげなうまかもん、はじめたたべたばってん!」と大きな声でとても喜んで食べてくださいました。
圃場を見せていただき、お話をお聞きして、お昼は牧山さんが壱岐の郷土料理を作ってくださいました。お忙しい中、とてもうれしくありがたく、申し訳なく思いながらおいしくいただきました。
持参の栗きんとんを「こげなうまかもん、はじめたたべたばってん!」と大きな声でとても喜んで食べてくださいました。
元気に伸びるいちごの苗たち。 葉についた水は元気のしるしです。 |
ハウスの中は雑草もありません。まっすぐに伸びるいちごのうね。 | ハウスの中には葉を食べる虫も。種々の生き物が暮らします。 |
いちごは週に1回~10日に1回、メロンは収穫までに5回くらい海水をかけて育てます。健康な葉っぱは海水をかけても枯れないとのこと。海水をかけることでミネラル分の不足を補い、いちごやメロンが丈夫に育つそうです。
そのほかJAS法に沿ったいい資材をふんだんに使い、もっともっといいいちご、おいしいいちごを作りたい。健康な人が食べてくれるばかりでなく、病気の人が健康を取り戻す、そんな希望をもって食べられるような「いちごを作りたい。いちご作りにこれで満足はない。